「光コンセントって普通のコンセントと何が違うの?」
「光コンセントはどこに付いているの?」
「光コンセントがないと光回線は使えないの?」
こんな疑問を持っている人はたくさんいるはずです。
この記事では光コンセントの種類や探し方、接続方法、光コンセントがない時の工事内容などについてわかりやすく説明していきます。ぜひ光回線導入の際の参考にしてください。
光回線の利用に必要な「光コンセント」とは
インターネットに光回線を利用したい場合、光ファイバーケーブルを屋内まで引き込む必要があります。しかし、引き込んだからといって光ファイバーケーブルにルーターなどの通信機器を直接つなげられるわけではありません。
屋内に光ファイバーケーブルを引き込んだ後は、通信機器をつなげる光回線専用のコンセントが必要になります。これが「光コンセント」です。
また、光コンセントにルーターをつないでも、インターネットをすぐに使えるわけではありません。光ファイバーケーブルを介して光コンセントまで来ている信号は、電気信号ではなく光信号です。
パソコンやルーターは光信号を読めないので、光信号を電気信号に変換する必要があります。その変換をしてくれるのがONU、光回線終端装置と呼ばれる通信機器です。光コンセントとONUをつなぎ、ONUとパソコンやルーターをつなげると、光回線のインターネットが利用できるようになります。
光コンセントには2つの種類がある
光コンセントには「一体型タイプ」と「分離型タイプ」の2種類があります。どちらを使うかは設置する場所によって決まります。見た目の差はありますが、性能や使い道に違いはありません。
それぞれの特徴を説明していきます。
一体型タイプ
一体型タイプとは、電気用コンセントや電話のモジュラージャックなどとプレートが一体化している光コンセントです。テレビ用のアンテナ端子が一緒に付いているタイプもあります。
このタイプの光コンセントを見つけるには、まず接続口に「TEL」という表示のある電話モジュラージャックが付いているプレートを探してください。光コンセントは、プレートの左端または右端に、縦に細長い形状で付いています。
差込口は電気用コンセントのように正面を向いていません。レーザー光で目を傷めないよう下向きになっていてカバーも付いています。接続用ケーブルを挿す時はカバーを開き、下から上に押し込むような感じで挿します。
一体型タイプは光コンセントがプレートに収まっているため、見た目はスマートです。また、引き込んだ光ファイバーケーブルも屋内配線されているので露出しておらず、部屋がすっきりします。
分離型タイプ
分離型タイプは光コンセントだけの単独機能で、他のコンセントやアンテナ端子などは付いていません。ケースは薄い箱型状で、手のひらに収まるサイズ感です。
ケースを一体型タイプのように壁に埋め込んで使うわけではないので、設置する場所を自由に決められます。壁にネジ止めして固定することもできれば、固定せず床に置いて使うことも可能です。
分離型タイプは、引き込んだ光ファイバーケーブルが屋内配線ではなく部屋に露出した状態で配線されます。気になる人は、ケーブルモールを使うと部屋をすっきりさせられます。
設置場所はどこ?光コンセントの探し方
引越し先のマンションやアパートが光回線に対応している場合、光コンセントが部屋のどこかに設置されている可能性が高いです。ここでは、光コンセントの探し方についてお伝えします。
「光」または「光コンセントSC」の表示が目印
光コンセントは一体型タイプでも分離型タイプでも、差込口付近に「光」または「光コンセントSC」という表示があります。さらに、「NTT」の文字も書かれているはずです。これを目印にして部屋の壁を探してみてください。
一体型タイプは電話モジュラージャック周辺を探す
一体型タイプの場合、光ファイバーケーブルは電話線の配管を利用していることが多く、電話モジュラージャックやテレビ用アンテナ端子、電気用コンセントなどとプレートで一体化しています。壁のコンセント周り、特に電話モジュラージャックが付いているプレートを意識して探してみましょう。
分離型タイプはエアコンのダクト周りを探す
一体型タイプが見当たらない場合は、分離型タイプが設置されていないか探してください。分離型タイプは、エアコンダクトを利用して光ファイバーケーブルを引き込むことが多いです。ダクト周りやエアコンの下などに設置されていないか調べてみましょう。
また、引き込んだ光ファイバーケーブルは露出配線のため、見た目や安全性を考え、ケーブルモールを使っていることがあります。ケーブルモールを見つけたら、その先に光コンセントが付いていないかを確認してください。
以上の方法で探しても光コンセントが確認できない場合は、管理会社や不動産屋に光コンセントの有無を尋ねましょう。
光コンセントがあるメリット!工事不要で光回線が使える
賃貸マンションなどで借りたい部屋に光コンセントがすでに設置されていると、いくつかのメリットがあります。どんなメリットがあるか見ていきましょう。
無派遣工事で開通が可能
通常、光回線のインターネットを利用するには、光ファイバーケーブルを屋内に引き込む工事が必要です。工事は契約したプロバイダが専門業者を派遣して行います。「派遣工事」と呼ばれるこの工事の場合、工事費用がかかるだけでなく、立ち合いしなくてはなりません。
部屋の中に光コンセントがすでに設置されていると、光ファイバーケーブルがすでに室内まで引き込まれている可能性が高いです。この場合は、業者の派遣がないので「無派遣工事」で光回線の利用が可能になります。
無派遣工事は、工事費用が不要で立会いの必要もありません。また、工事業者による開通工事を待たなくていいので、光回線を使えるまでの時間も短縮できます。
無派遣工事の場合はONUを自分で設置する
派遣工事の場合、引き込み工事の終了後、業者が光コンセントにONUをつなぐ作業もあわせてしてくれます。ONUとは光回線終端装置といわれるもので、光ファイバーケーブルで送られてきた光信号をルーターやパソコンで使える電気信号に変換する通信機器です。
無派遣工事の場合は契約したプロバイダから、ONUや光コード、電源アダプター、LANケーブルなどが送られてきます。これらを自分で設置する必要があるのです。
接続の手順を確認しておきましょう。
- ONUと光コードをつなぐ
- もう一方の端子を光コンセントに挿す
- ONUとパソコンをLANケーブルでつなぐ
- 電源アダプターをONUにつなぐ
光コンセントとONUをつなぐのはLANケーブルではなく、光コードという光ファイバーケーブルです。光コードは慎重に扱いましょう。中を通っている光ファイバーは曲げに強くありません。多少の曲げでは問題ありませんが、鋭角に折り曲げると折れてしまう可能性があります。
無線Wi-Fiルーターを持っているなら、(3)でパソコンの代わりにルーターをつなげると、複数のデバイスで光回線を利用できるようになります。
電源アダプターをONUにつなぐのは(3)の前でもかまいません。ただし、必ず光コンセントとONUと光コードをつないだ後にしてください。
光コンセントがあっても工事が必要な場合もある
光コンセントが部屋に設置されていても、全てのサービスを派遣工事不要で利用できるわけではありません。選ぶ光回線によっては、新規工事が必要な場合があります。
どのプロバイダなら既設の光コンセントを使えるか、具体的な例は次のとおりです。
光コンセントをそのまま使えるプロバイダ | フレッツ光 ドコモ光 ソフトバンク光 @nifty光 So-net 光 プラス OCN光 BIGLOBE光 その他フレッツ光と光コラボしているプロバイダ |
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光コンセントが付いていても新規で開通工事が必要なプロバイダ | auひかり NURO光 eo光 コミュファ光 ピカラ光 メガ・エッグ BBIQ その他NTTの光回線を利用していないプロバイダ |
上記の表からわかるように、工事なしで光コンセントが使えるのはNTT回線を使っているプロバイダです。NTTのフレッツ光、フレッツ光と光コラボをしているプロバイダの光回線サービスなら、無派遣工事で対応できる可能性が高くなります。
一方、フレッツ光を使わず独自の光回線サービスを展開しているauひかりやNURO光、eo光などに申し込むと、新規での開通工事が必要です。
光コンセントがない場合は設置工事が必要
部屋に光コンセントがない場合は設置工事をする必要があります。NTTのフレッツ光を例として挙げると、工事費用は戸建で19,800円、マンションで16,500円ほどかかります。
ただ、それぞれのプロバイダで工事費用の無料キャンペーンや割引・キャッシュバックの特典などを定期的に行っています。公式サイトでキャンペーン情報を確認してみてください。うまく利用すれば、初期費用を抑えられるでしょう。
設置工事までの期間は2週間〜1ヵ月
光コンセントの設置は、申し込んですぐにできるものではありません。回線業者やプロバイダ、そして申し込み時期にもよりますが、通常の期間は2週間〜1ヵ月です。
引越しシーズンなどは、2ヵ月以上も待つ可能性もあるので、余裕を持って申し込んでおきましょう。工事当日に要する時間は1~2時間程度です。
光コンセントの設置は一ヶ所のみ
工事業者が工事に来る前に、光コンセントを家のどこに設置するかを決めておく必要があります。一家庭に一ヵ所しか付けることができないので設置場所は慎重に決めてください。設置後どうしても気に入らなければ移動工事もできますが、費用がかかってしまいます。
光ファイバーケーブルの引き込み工事は大抵、電話線の配管を利用します。壁側のプレートも設置に合わせて、見た目スッキリの一体型タイプに変更されることが多いです。特にこだわりがなければ、リビングなど電話線が近くにある場所に設置しておくといいでしょう。
自分の部屋など電話線の近く以外に設置したいのであれば、分離型タイプの光コンセントが使われます。この場合、エアコンダクトなどを利用するので、光ファイバーケーブルは露出配線になるでしょう。
光コンセントの設置工事は戸建とマンションで内容が異なります。それぞれの内容を以下で紹介していきます。
戸建の設置工事内容
戸建の場合、開通工事は電柱からの引き込み工事となります。電柱から光ファイバーケーブルを屋内に引き込み、家の中に光コンセントを設置します。
屋内に引き込む時の方法は主に次の3つです。
- 電話線の配管を利用する
- エアコンダクトを利用する
- 壁に穴を開ける
通常は(1)または(2)の方法で、光ファイバーケーブルを屋内に引き込みます。(3)は2つの方法ではうまくいかない場合です。戸建の引き込み工事をすると、壁に必ず穴を開けられるということではありません。
設置する光コンセントですが、電話線の配管を利用すると一体型タイプ、エアコンダクトを利用したり壁に穴を開けたりすると分離型タイプになることが多いでしょう。
マンションの設置工事内容
光回線に対応しているマンションの場合、すでにマンションまでの引き込み工事は完了しています。そのため、プロバイダから派遣される工事業者が行なうのは、MDF室(共用スペース)から部屋に光ファイバーケーブルを引き込むまでの作業です。
ここで注意が必要なのは、光回線対応マンションといっても、工事済みの光回線以外は利用できない可能性があることです。例えば、フレッツ光を導入済みのマンションでauひかりを使いたくても、難しい場合があります。部屋を借りる前に、どの光回線サービスに対応しているかを確認しておきましょう。
光回線に対応していないマンションは、戸建と同じく電柱からの引き込み工事となります。この場合、光回線の開通工事について管理会社や大家さんなどに許可が必要になるでしょう。
集合住宅は光コンセントがなくても工事が不要なことも
戸建であれば、光ファイバーケーブルを屋内まで引き込んで光コンセントを設置する光配線方式が用いられます。しかし、マンションやアパートなど集合住宅では、光コンセントがなくても光回線が使えるところがあります。
光ファイバー導入済みのマンションやアパートでは、「光コンセント」ではなく「モジュラージャック」か「LANコンセント」のいずれかが設置されている場合があるからです。
この場合、LANコンセントや電話回線用モジュラージャックが接続口になっているので、光コンセントがなくても光回線が利用できます。
LANコンセント
光ファイバーケーブルをマンションのMDF室(共用スペース)まで引き込んだ後、そこから各部屋までをLANケーブルでつないでいます。この方式は「LAN配線方式」と呼ばれるものです。MDF室内にONUに当たる「集合型回線終端装置」が設置されているので、光コンセントの時に接続したONUはいりません。
室内には、光コンセントの代わりにLANケーブルを挿すことができるLANコンセントが付いています。接続口の上部に「LAN」と表示されています。形状はLANコネクタと同じであるため、LANコンセントにWi-Fiルーターを直接つなげることが可能です。
通信速度は光コンセントを利用した時ほどではありませんが、それなりの安定した速度が出ます。月額料金が光配線方式に比べて安いのが特徴です。
モジュラージャック
電話回線用のモジュラージャックを接続口とした光回線は「VDSL方式」と呼ばれるものです。MDF室まで光回線を引き込んだ後、MDF室内の「集合型回線終端装置」までを光ファイバーケーブルでつないでいます。
ここまではLAN配線方式と同じですが、回線終端装置の後にLANケーブルで「VDSL集合装置」がつながっています。そこから、各部屋までを電話回線でつないでいる仕組みです。
室内では、電話回線用モジュラージャックが「TEL」と表示されています。電話回線はアナログ信号なのでデジタル信号に変換しなくてはなりません。そのため、電話回線用モジュラージャックには「VDSL宅内装置(モデム)」をつなぎます。モデムにはLANコネクタが装備されているので、LANケーブルでルーターやパソコンとつないで利用するのです。
VDSL方式の通信速度は、光配線方式やLAN配線方式に比べると遅い傾向にあります。インターネットのメイン利用が動画視聴やゲームなど、大容量のデータ通信が必要な人の場合は不満に感じるかもしれません。
光コンセントにまつわるQ&A
光コンセントに関してよく出る質問をQ&A形式でまとめてみました。
自分で設置した光コンセントは引越し時に撤去が必要か?
光コンセントは引越し時に、撤去する必要がないことがほとんどです。次の入居者も光コンセントがあった方が便利なため、管理会社や大家さんも撤去を求めることはほぼありません。しかし、例外的に原状回復が必要な場合もあるので、前もって確認しておきましょう。
もし自分で設置した光コンセントの撤去を求められた場合、業者による作業が必要です。この場合、契約しているプロバイダのサポートデスクに連絡してください。
ただし、連絡したその日に工事業者が来てくれるわけではないので、引越しする日がはっきりしたなら、できるだけ早く連絡を入れて、日にちの段取りをしておきましょう。当日、工事にかかる時間は30分から1時間ほどです。
引越し先に光コンセントがあるかを確認する方法は?
引越し先の部屋に光コンセントがあるかを確認したいという人も多くいるはずです。光回線サービスを提供しているプロバイダの公式サイトで、インターネット環境のエリア確認ができます。引越し先の郵便番号や住所を入力すると、光回線に対応しているかがわかります。
ただし、残念ながらわかるのはここまでです。マンションであれば、MDF室までは光回線が引き込まれている可能性が高いですが、そこから各部屋まで引き込まれているか、光コンセントが設置されているかは把握できません。
部屋に光コンセントがあるかは、管理会社や大家さんへの確認が必要です。または、内見の際に自分の目で確認しておきましょう。
光コンセントのケーブルを延長する方法
ONUを今置いてある場所から移動させたいのにケーブルが短くて動かせない、というケースもあるかもしれません。その場合、光ファイバーケーブルを購入すれば解決できます。
Amazonや楽天市場で1.5mや3mなどのケーブルが数千円で売られています。ケーブルを購入する時は、ケーブルとケーブルをつなぐ中継アダプタもあわせて購入してください。
接続は次のようにします。
- ONUの電源アダプタを抜く
- 光コンセントからケーブル(A)を抜く
- ケーブル(A)に中継アダプタを付ける
- 中継アダプタと購入したケーブル(B)をつなげる
- ケーブル(B)を光コンセントに挿す
- ONUの電源アダプタを挿す
先ほども述べましたが、光ファイバーケーブルは曲げに弱いので、ぐるぐる巻きにしたり鋭角に折り曲げたりしないように注意してください。中でケーブルが折れてしまう可能性があります。
マンションで光コンセントが使えないときの対処法
マンションが光回線に対応していない、マンションの管理会社や大家さんに開通工事のお願いしたけど許可が下りなかったなどの理由で、どうしても光回線が使えない場合もあるかもしれません。
そんな時におすすめなのが、モバイルWi-Fiルーターの利用です。たとえば、ソフトバンクがサービスを提供している「SoftBank Air(ソフトバンクエアー)」やUQ WiMAXが提供している「WiMAX 2+」などがあります。
これらのWi-Fiルーターはモバイル回線を利用しているので、電波が届くエリア内という制限はありますが、光回線のような工事が不要です。申し込みをしてから1週間もかからず機器が届くので、待ち時間もほとんどありません。また、コンセントにプラグを挿して、初期設定するだけのかんたん操作でインターネットに接続できます。
光回線によるインターネット環境をどうしても実現できないという時は一度試してみてください。
光回線に必要な光コンセントのまとめ
今回は、光コンセントの種類や探し方、接続方法、工事内容などについて詳しく紹介してきました。
光コンセントは光回線を利用する上で必要なものです。戸建はもちろん、「モジュラージャック」や「LANコンセント」がないマンションやアパートでは、設置工事をしなくてはなりません。
とはいえ、光コンセントの設置手続きはとても簡単です。利用したい光回線とプロバイダを選んで、ネットや電話で申し込むだけです。
モバイルWi-Fiルーターを使っているけど、より安定した通信環境を整えたい人や、引越し先で光回線を導入したい人は、ぜひこの記事を参考にしてください。